共働き家庭が増える現代では、子供に家事を手伝って欲しいと考えている親は多いのではないでしょうか?
子供が少しでも家事を手伝ってくれると、とても助かりますよね。
ですが同時に以下のような悩みを抱えていると思います。
●世の中の中学生は家事をしているの?
●中学生が家事をするメリットなんてあるの?
●家事をやらせた方が良いの?勉強に集中させた方が良いの?
ここではそのような悩みを1つずつ紐解いていこうと思います。
読み終わったころには、心がスッキリしてご家庭の方針が決まるのではないでしょうか?
一度目を通してみてください。
もくじ
中学生は家事をやってるの?その割合は?
では実際に家事をしている中学生はどのくらいいるのでしょうか?
平成22年3月に発表された内閣府政策統括官による調査によると「家事の手伝い」をしている割合は以下の通りです。(平成21年調べのもの)
<中学生男子>
●決まったものがある(25.3%)
●決まったものはないが、時々手伝う(50.4%)
●ほとんど手伝わない(23.5%)
<中学生女子>
●決まったものがある(31.9%)
●決まったものはないが、時々手伝う(53.7%)
●ほとんど手伝わない(14.3%)
どのような形であれ家事をしている中学生は、男子(75.7%)・女子(85.6%)に上ります。
思ったより多くの中学生が家事に携わっている印象を受けますよね。
中学生が家事をするメリット7選
中学生が家事をするメリットは何でしょうか?
どのようなメリットがあるのか7選紹介していきたいと思います。
1、生きていく力
当然ですが、家事は生きていくために必要なことです。
勉強はできても生きていく上で必要なことが全く備わっていない高学歴の人たちはたくさんいます。
進学や就職でいきなり一人暮らしをすることになっても全く何もできない場合、以下のことが考えられます。
●食事:外食やコンビニ食に頼ってしまう
●掃除:部屋は散らかり放題
●洗濯:たまり放題・洗濯物は干しっぱなし
環境が変わって順応していくだけでも大変なのに、そこに家事が加わってくるとキャパオーバーになってしまいますよね。
食事は常に外食やお弁当に頼っていた印象だったわ。 口癖が「家事をやってくれるお手伝いさんが欲しい」だったもの。
家事をスムーズにできれば要らないストレスを抱えなくてすみますよね。
いざというときのために準備しておくのも良いかもしれませんね。
そして忘れてはならないのがもう一点。
「家事ができれば夫婦円満になりやすい」ということ。
「家事ができない」「全く手伝ってくれない」ということは夫婦関係に亀裂が生じる一因になりやすいです。
逆に全くやってくれない家は奥さんがストレス溜まりまくりみたいよ。
将来のために今から家事に慣れておくのは良いかもしれませんね。
とても大きなメリットになるはずです。
2、責任感
自分に割り当てられた家事を毎日行うことで「自分がしなければならないんだ」と「責任感」が生まれてきます。
責任感を養うには少し時間を要します。 責任感とは、その事柄を完全に自分の仕事と捉え、積極的に取り組めるようになって始めて生まれてくるものです。
責任感を感じられるようになるまで、親は決して手を出さず見守ってあげて下さい。
時には「あなたがやらないと困る」ということを分かってもらうために、家のことが回らず困っても「本人がやってくれるのを待つこと」が必要になってくるかもしれません。
ココに注意
子供たちがなかなか家事をやらなくてもガミガミ怒るのではなく、ゆったりと構えてみて下さい。 人は、無理矢理やらされたことから学べることは限られてきます。
色々言われたらやりたくなくなるわ。
私も気を付けないといけないわ。
親が出来ることはただ一つ。
本人が自主的に取り掛かるようになるまでじっと見守ってあげることです。
3、気付く力
家事をすることによってあらゆることに気付けるようになります。
1、家事の大変さに気付く
自分が家事をすることによって今まで当たり前だと思っていたことが当たり前ではないことに気付けます。
時には家事をするのが面倒だなと感じることがあると思います。
その時に、いつも親が当たり前のようにしてくれていることの「ありがたさ」を痛感する人もいることでしょう。
親に対して感謝の気持ちを持つことができるようになります。
2、足りていないことに気付く
例えば、お料理を担当するとします。
ご飯を食べる時に「箸が足りないな」「醤油が出ていないな」など、自分がたずさわったことには敏感に反応できようになるでしょう。
一度ご飯を作るようになると自分が作っていない時も気が付けるようになります。
人は自分がやったことの無いことには無関心ですよね。
ですが一度関心が向きアンテナが立った状態だと、色々なことに気付けるようになります。
3、他者の様子に気付く
親がたくさんの家事を抱えて大変そうな時にも気付くことができるようになります。
気付くことができると、自ら進んで手伝うようになる子供もいるのではないでしょうか?
「人を思いやる優しい心」も育むことができそうですよね。
4、集中力
家事をやることによって集中力がUPします。
時間が無限にあると思うと人はダラダラと時を過ごしてしまいますよね。
ですが自分にはこの時間しかないと思うと「集中して物事に取り組む」ようになります。
集中力を上げるために重要なことは以下のことです。
●時間(期限)を決めること
●自分はいつ集中しやすいのか考える
●集中の妨げになるものを排除する
以上のことに気を付けるだけで集中力はUPするはずです。
家事をする時間は、以下のことに配慮して決めると良いかもしれません。
1 集中力を一番発揮できる時間帯を考える
2 一番集中できる時間を勉強にあてる
結果として「家事もきちんとこなしているのに成績が上がった」なんて現象も見られるかもしれません。
5、習慣化
家事を毎日やることによって習慣を身に付けることができるでしょう。
家事などの習慣は1か月ほどで身に付くと言われています。
1か月間毎日続けることができれば習慣化されたと思って良いようです。
まずは1か月、子供の家事が習慣化されるまで親は根気強く働きかけてあげて下さい。
毎日行うことが難しいようでしたら何日かおき、もしくは土日だけでも構いません。
継続して行えるよう心掛けて下さい。
以下で習慣化を身に付けるためのポイントを紹介するわ!
<家事を習慣化させる上でのポイント4点>
1、目的を明確にする
「なぜ家事をするのか?」「そこから何を得られるのか?」をお話するようにして下さい。
子供たちにとってはただでさえ面倒くさい家事です。
自分のメリットが感じられなければ進んで出来るようになるのは難しい年齢です。
以上のことが難しいようでしたら「いかに家族が助かるか」をしっかり話してあげて下さい。
2、小さいことから始める
いきなり多くのことを任せず、簡単にできることから任せて下さい。
まずは毎日するという習慣化を身に付けることが最優先です。
習慣化さえ出来れば、難易度をあげていっても不思議と出来るようになります。
3、手間を省く
もし掃除機をかけてもらうのであれば、掃除機のコンセントを入れて使いやすい場所に出しておいてあげて下さい。
子供が行うひと手間を省いてあげるだけで習慣化はしやすくなります。
4、すでに習慣としてやっていることに紐付ける
今既にやっていることに組み合わせると習慣化しやすいです。
例えば、以下のように決めてみてください。
●「帰ってきたら家事をする」
●「宿題が終わったら家事をする」
●「ご飯を食べたら家事をする」
組み合わせるでも何でも構いません。
ある事柄に組み合わせて行うとより習慣化がされやすいのでオススメです。
一つのことを継続してやれるようになると、それは自信へとつながります。
自信がついてくると、以下のような良い連鎖も生まれてきます。
1 家事を継続して出来たのだから「きっと他のこともできるはずだ」と物事を前向きに捉えられるようになる
2 新たなことに挑戦する姿勢も生まれてくる
6、クリエイティブ力
家事をする中でクリエイティブ力が養われます。
クリエイティブ力とは具体的にどのような能力だと思いますか?
以下で詳しく見ていきましょう。
そもそもクリエイティブ力とは?
これからの時代、多くの業務がAIに取って代わられていきます。
学校の試験のように答えが一つではなく多種多様な答えが求められる時代に入ってくるのではないでしょうか。
大切なことは「AIが入ってこれない領域(クリエイティブ力)を鍛えること」です。
分かりやすいように具体的に「クリエイディブな人」を紐解くと以下のような能力を持っていることが分かっています。
<クリエイティブな人が持つ能力>
●挑戦する
●探求心
●変化を好む
●やりぬく力
●好奇心
●並外れた集中力
●洞察力
このような能力を身に付ければ良いのね。
ではそれが家事を通してどのように得ることができるのでしょうか?
次を見てみて下さい。
家事を通してどのようにクリエイティブ力は身に付くの?
クリエイティブと聞くと少し難しく感じるかもしれません。
ですが、自分の頭を使って考え導き出された答えは、他とは差別化された立派なクリエイティブなものになります。
「クリエイティブ力」はただ机に向かって勉強をしていただけでは育ちません。
色々な経験積む中で養われていきます。
実は、 クリエイティブ力は家事を通しても育てていくことのできる能力なのです。
クリエイティブな人が持っている能力を家事に当てはめて説明します。
(例)料理
1、挑戦
●子供にとって料理を担当するということそのものが挑戦になります。
●献立を決めること・お買い物・包丁の使い方・火の使い方、1つ1つ全てが初めてのことで挑戦です。
2、集中力
●ケガや火傷をしないために、包丁や火を使う際には集中して扱うことが求められます。
●お料理を1から作ろうと思うと集中して取り組まないと途中で間違えてしまうでしょう。
3、やり抜く力
●四苦八苦しながらも作り終えたころには一つのことをやり遂げたという強い達成感が生まれます。
4、好奇心・探求心
●慣れてくると「今度はどんなものを作ろうか?」(好奇心)・「どうやったらうまく作れるか?」(探求心)と色々な思いがわいてきます。
家事をすることによって「自分の頭で考え工夫し新たな答えを導き出す力」=「クリエイティブ力」が自然と身に付いてきます。
皆さんが思っている以上に子供たちは家事からとても多くのことを得ることができます。
日頃から子供が家事を行うことは親にとっても子供にとっても良いことばかりですよね。
7、自己肯定感の向上
実は、お手伝いをしている子供の方が「自己肯定感が高い」という統計結果が出ています。
自己肯定感とは生きていく上でとても大切な自己に対する感情です。
<自己肯定感とは?>
自己肯定感とはありのままの自分をそのまま受け入れることができる能力です。
人は自分自身の「良いと思っている部分」と「悪いと思っている部分」とがあります。
誰しも良い部分は無条件に受け入れ認めることができますよね?
ですが、悪い部分はなかなか受け入れられません。
自己肯定感とはこの自分が嫌だと思っている部分も含めて正しく自分を受け入れることができる能力。
言い換えると「自己肯定感」とは以下のような気持ちです。
●「自分に満足している気持ち」
●「自分のことが好きな気持ち」
ありのままの自分を受け入れることができると以下のような感情にもつながります。
●「自分は必要とされる人間だ」
●「生きている価値のある大切な人間だ」
自己肯定感とは人の根幹に触れるとても重要な感情なのです。
中学生のころから子供たちの意識は徐々に家庭から離れていきます。
ココがポイント
親が子供の自己肯定感を育てられる最後のチャンスがこの中学生~高校生期になってきます。 是非この貴重な機会を逃さず、子供の自己肯定感を存分に伸ばしてあげて下さいね。
自己肯定感がUPすると得られる3つのメリットとは?
自己肯定感がUPすると生きていく上で多くのメリットがあります。
今回はその中でも3つ紹介していきましょう。
1、揺らぐことのない「自分の居場所」を見つけることができる
子供たちは色々な場面で自分を試される環境に身をおくことになります。
●学校でのテスト
●入学試験
●クラブ活動でのレギュラー争い
●クラス内での自分の置かれた立場
上記のようなさまざまな困難に立ち向かわなくてはなりません。
上手くいっているときは良いのですが、上手くいかなくなり居場所を失った場合どうなるでしょうか?
自己肯定感の低い子だった場合、自分を否定し認められなくなり以下のようなことが生じる恐れがあります。
登校拒否
ひきこもり
自分の人生に終わりを告げる
ですがもし、家事を行っていれば以下のような効果を得られます。
1、家事を通して家族とのコミュニケーションが生まれます。
→子供が抱えている問題にも気付きやすくなる。
2、自分の役割が明確になり「家族にとって自分はいなくては困る」という状況が生まれてきます。
→「自分は必要とされている」ということを強く認識することができる。
3、「自分は必要とされている」との思いは「自分には家族があり自分はここにいても良い」のだと居場所を作り、自分を認めることにつながります。
→失敗したダメな自分も認めることができるようになる。
2、挑戦する姿勢を持てるようになる
●自己肯定感が高い人
自分に自信を持つことができ、物事に積極的に取り組めるようになります。
どんなことにも臆せず挑戦していくことができるでしょう。
失敗したとしても自分を否定もせずそのまま受け止めることができるからです。
●自己肯定感が低い人
失敗が怖くなり何事にも慎重になり過ぎます。
結果、つかめたはずのチャンスも逃してしまう可能性が高くなってしまうのです。
これからの時代、挑戦して新たな道を切り拓いていくことはとても重要なことです。
3、人生の質が高くなる
自己肯定感はその人の「人生の質」にも関係してきます。
自己肯定感の強い人は人生に対する幸福度も満足度も高くなります。
ココに注意
自己肯定感が低ければどんなに素晴らしい素質・成果・肩書を持っていたとしても自分を認められません。 自分の欠点にばかり目が行き、どれだけ成功できたとしてもそれを正しく受け入れることができなくなってしまいます。
自己肯定感が低いと、とても苦しい人生になってしまいます。
自己肯定感が高いことはどんな素晴らしい学校に行ったり、どんなに素晴らしい職業に就くことより大切なことな気がするわね。
この大切な時期に自己肯定感をしっかり養ってあげてください。
それはその子にとって、かけがえのない大切な人生の財産になるはずです。
自己肯定感の高め方
自己肯定感は「自分が誰かの役に立った」と感じ、人から「自分を肯定されること」で育っていきます。
具体的には、私たちが子供の自己肯定感を育む方法は「ほめる」ことです。
家事をしてくれた時に必ずほめてあげて下さい。
ココがおすすめ
中でも一番良い方法は「寝る前にほめること」です。 寝ている間は他の情報が入ってきません。 寝る前にほめられると寝ている間ずっと幸せな気持ちでいられるため自己肯定感がとても育ちやすいからオススメです。
何もほめることがないと考える人は「毎日家事をしてくれてありがとう」でも「生まれてきてくれてありがとう」でもなんでも良いと思います。
育児において「ほめる」ことによるプラスの効果はとても大きいです。
ぜひ積極的にたくさんほめることを心掛けて下さいね。
中学生が家事をする上で親がすべきこと・してはいけないこと
親は子供が家事をしてくれたら必ず感謝の言葉を伝えましょう。
思春期で難しい年ごろですのでお礼を毎回言われることを嫌がる子もいるかもしれません。
その場合は「こんなにきれいになってる。本当に助かるな~」などを本人の耳に入るように発してみて下さい。
無表情だったとしても間違いなく嬉しく感じているはずです。
また頑張ろうとの思いがわきおこってくるのではないでしょうか。
ココに注意
親が注意すべきことは「口出しをすること」です。 もしも気になることがあってもダメだしは絶対にしないで下さい。 口出しをされると「もうしたくない!」との思いになってしまい家事をすることが嫌になってしまいます。
子供もそのうちどうしたら上手くできるか考え試行錯誤をはじめます。
ですがそれは家事が習慣化されてからのことです。
最初から完璧を求めるのではなく、やってくれたそのこと自体に目を向けて下さい。
まずは家事をすることは、親がほめてくれるし「嬉しい・楽しい!」との思いを植え付けてあげて下さいね。
もし気になるところがあればやってくれた後でそっと直しておけば、そのうち気付くはずです。
今の子供たちにとってはそれが最大限に発揮できる力なのです。
中学生が家事に時間を費やすことで勉強ができなくなる?
家事をすることで勉強にあてられる時間が減るとの懸念があると思います。
ですが時間があったからと言って本当に勉強をするのでしょうか?
とても怪しい気がします。
家事をする時間は1日数分で良いのです。
どれだけ忙しくても家事のための数分を捻出できない人はいないと思います。
1、家事をしながら「オーディオ」を聴いて耳から学ぶ。
最近ではYoutubeでも有益な情報を発信してくれています。
イヤフォンなら家事の邪魔にもならず学ぶことが出来るのでとても良い方法ですよね。
2、暗記物の復習の時間にあてる。
暗記物は頑張って勉強をして頭に叩き込んでも以下のような恐ろしいスピードで記憶は失われていきます。
●20分後に42%
●1時間後に56%
●1日後に74%
●1週間後に77%
●1カ月後には79%
(ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスの忘却曲線より)
反復を行わなければこれだけのスピードで忘れていってしまうのです。
記憶を定着させるために家事をしながら頭の中で反復してみるのも良い方法だと思いませんか?
記憶を効率的に定着させたいのなら以下のタイミングで反復することが効率的だと言われています。
●「寝る前」(寝ている間に記憶が定着する)
●「翌朝」(脳が最も活性化している時間)
●「一週間以内に再度復習」
中学生に家事をやらせてみよう!
いかがでしたか?
ここでは主に子供たちが家事をすることのメリットを説明してきました。
家事からはとても多くの能力や習慣を得ることができます。
やらない手はないように感じてしまいますが、どうでしょうか?
これからの時代は私たちがまだ知らない新たに創出される仕事がたくさん出てきます。
その時代に太刀打ちするために子供たちがすべきことは何だと思いますか?
いつかAIに取って代わられるであろう「暗記」や「計算」なのでしょうか?
勿論それをすることはとても重要です。
ですが、勉強だけに時間を投資し続けることは危険な気がしてなりません。
今目の前にある勉強だけしていれば報われる時代は終わりつつあります。
まずは、是非早い段階から家事を始めて新たな可能性を見つけていってあげて下さい。
子供たちの才能はどこにあるか分かりません。
家事を通して様々な能力を育むと同時に、子供たちの可能性も探ることができます。
きっと家事の経験はいつか必ずどんな形であれ「子供たち自身を助けてくれるもの」になるはずです。
そのことを考えた上でも家事はとても良い経験ですよね。
お子さんに自信をもって家事をすることを勧めて下さいね。
将来、皆さんの子供たちが大空に羽ばたけることを心よりお祈りしております。